立命館大学経済学部

広がる所得格差がいま世界で問題になっています。所得格差をみる指標はいくつかありますが、例えば所得階層別の国民所得のシェア(税引前)でみると、2014年のアメリカでは上位10%の所得階層が国民所得の47.0%を占めています。しかも1980年には34.2%だったことを考えると34年間で13ポイント近くも上昇したことになります。反対に下位50%の所得階層のシェアは同期間に19.9%から12.6%に低下しています。こうした所得格差の拡大はアメリカほどではありませんが、日本をはじめ他の先進国でも共通してみられます。一方で、所得税の最高限界税率は段階的に引き下げられてきました。アメリカでは1980年の最高限界税率は70%でしたが、現在は37%になっています。日本でも1980年の75%から現在の45%へと変わっています。 所得格差が広がってきているならば、より多くの所得を稼ぐ人にはより多くの税負担を求めてもよさそうですが、なぜ実際には高額所得者の税負担は軽減される傾向にあるのでしょうか?